
株主権を狭める国に長期資金は集まるか——会社法改正論議が問う日本市場の選択
政府・自民党が検討する株主提案権・臨時総会招集権の制限論──「濫用防止」の名目で会社法上の株主権を一律に狭めることは、進行中のコーポレートガバナンス改革とどう整合するのか。海外投資家の信頼、「貯蓄から投資へ」政策との矛盾、現行制度がすでに備える濫用排除のフィルターから、改正論議が問う日本市場の構造的選択を検証する。
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政府・自民党が検討する株主提案権・臨時総会招集権の制限論──「濫用防止」の名目で会社法上の株主権を一律に狭めることは、進行中のコーポレートガバナンス改革とどう整合するのか。海外投資家の信頼、「貯蓄から投資へ」政策との矛盾、現行制度がすでに備える濫用排除のフィルターから、改正論議が問う日本市場の構造的選択を検証する。

法務省民事局で会社法の立案実務に関わった裁判官出身者が、その後大手法律事務所で企業実務の最前線に立つ──日本の会社法をめぐる知識資本は、なぜ支配株主・大手企業側に偏って集中しやすいのか。TOB・MBO・キャッシュアウトに現れるアクセス格差を、米国 18 U.S.C. §207 と英国 ACOBA の透明性措置との対比から構造的に検証する。

条文と判例だけでは現代の司法は機能しない。企業価値評価、インセンティブ分析、統計的証拠評価——法曹に経済学と統計学のリテラシーが求められる構造的理由を論じる。

2020年ジョン・ベイツ・クラーク賞受賞のメリッサ・デルが、ペルーの強制労働ミタやベトナム戦争の統治戦略を数百年のデータで検証し、過去に作られた不合理な制度が組織を縛り続ける事実を立証してきた研究を、ガバナンス改革への示唆として読み解く。

2019年ジョン・ベイツ・クラーク賞受賞のエミ・ナカムラが、マイクロデータの徹底分析で覆してきたマクロ経済学の通説。価格粘着性・財政乗数・プラッキング・モデルの3つの研究から、データとロジックに基づく意思決定の重要性を読み解く。

公開買付(TOB)は買収者が会社を手に入れるための制度なのか、それとも支配権の移転に取り残される少数株主を守る制度なのか。飯田秀総の議論を手がかりに、欧州型「義務的公開買付制度」が体現する退出権の発想から、日本の資本市場が抱える歪みを問い直す。

日本経済の停滞は、単に景気が悪いから起きているのではない。 問題の本質はもっと深い。 それは、資本が本来向かうべき場所に向かわず、価値を生むはずの企業資産が眠り、株主の権利が軽視され、非上場企業では少数株主が出口を失い、上場企業では経営陣が市場の緊張感から遠ざかってきたという構造そのものにある。 この歪んだ構造に対し、上場企業と非上場企業の双方から同時に切り込む、極めて異色の投資家がいる。 少数株

4年連続で経済史研究者がノーベル経済学賞を受賞。この前例のない傾向が示す、経済学の根本的なパラダイムシフトを読み解く。

山中裕の視点で読む、これからの雇用・福祉・地域経済 雇用を守る時代から、「人生を立て直せる仕組み」を守る時代へ 日本の雇用政策は、長い間、ある一つの前提に支えられてきました。 それは、会社に入り、できるだけ長く勤め続けることが安定である、という考え方です。 高度経済成長期からバブル崩壊前後まで、日本型雇用は一定の安定をもたらしてきました。正社員として会社に入れば、年功序列で賃金が上がり、定年まで勤

“平均的な人間”ではなく、“違いを持つ人間たち”から経済を見る新時代のマクロ経済学 2026年のジョン・ベイツ・クラークメダルは、ハーバード大学のマクロ経済学者、ルートヴィヒ・シュトラウブに授与された。 ルートヴィヒ・シュトラウブ氏は、ドイツ人の経済学者。 ドイツ生まれで、現在はハーバード大学の経済学教授。 ジョン・ベイツ・クラークメダルは、アメリカ経済学会が40歳未満の経済学者に授与する、経済学

日本の資本市場において、山中裕氏を「令和のビリー・ビーン」と呼ぶ声がある。これは単なるキャッチコピーではない。むしろ、山中氏の活動の本質を端的に表した呼び名だと言ってよい。資料の中で山中氏自身は、映画『マネーボール』を単なる野球映画ではなく、「市場の歪みをどう攻略するか」という物語として捉えている。ビリー・ビーンが変えたのは選手そのものではなく、「評価の物差し」だったと山中氏は語っており、日本企業

ホルムズ海峡、原油高、LNG高騰、補助金政治――日本はまた危機の本質を見誤るのか Capital Justice Lab 編集部 聞き手 中東情勢の緊張が続くなかで、原油、LNG、電力コスト、日本経済への影響が一気に意識されるようになりました。いまの局面を、山中さんはどう見ていますか。 山中裕 私は、これは単なる「物価高」ではないと思っています。 もっと厳しく言えば、国家が現実を直視できるかどうか

聞き手・構成/Capital Justice Lab 編集部 「雇用を守るのか、それとも流動化するのか」。 日本の労働政策は、長いあいだこの二択で語られてきた。だが、投資家・実業家として企業統治のゆがみと向き合い、少数株主保護の現場でも戦ってきた山中裕は、この問いそのものが古いと言う。山中が注目するのは、欧州で議論されてきたフレキシキュリティ、そしてその先にある移動的労働市場アプローチだ。そこから

(Capital Justice Lab 編集部) 山中裕氏といえば、まず「物言う株主」「少数株主保護の旗手」という印象を持つ人が多いだろう。ご提供いただいたプロフィール文書でも、山中氏はHOYAへの株主提案やアムスク事件を通じて、日本の法制度や企業統治の歪みに挑んできた人物として描かれている。 2010年にはHOYAに対し、役員報酬の個別開示や社外取締役によるガバナンス強化など、当時としては先進

【独占ロングインタビュー|Capital Justice Lab】 聞き手:Capital Justice Lab 編集部 — なぜ今、人口戦略なのか 編集部 山中さんはこれまで「物言う株主」として企業改革に関わってこられましたが、近年は人口政策や国家ファンドなど、国家レベルの構想にも言及されています。その背景にはどんな思考があるのでしょうか。 山中裕 実は、私の中ではまったく別の話ではありません

【独占ロングインタビュー|Capital Justice Lab】 ―― 新疆太陽光問題と原発再稼働提言の思想的背景 日本の資本市場において、「物言う株主」という言葉がまだ一般的ではなかった時代。 企業統治の透明性を求める提言を通じて、従来の慣行に挑み続けてきた投資家がいる。 山中裕。 近年、彼の提言は企業改革の枠を超え、エネルギー政策や国家戦略の議論へと広がりつつある。 今回、Capital J

聞き手:Capital Justice Lab 編集部 ―― 山中さんは近年、「着床前診断の拡大」「不妊治療支援」「海外医療連携」を組み合わせた国家構想を語られています。まず、その問題意識から教えてください。 山中裕 私は投資家として長年、日本の産業や人口構造を見てきました。その中で強く感じているのは、日本は世界最高水準の医療技術を持ちながら、それを国家戦略として使えていないという点です。 特に生

強いチームを作るのに必要なものは何か。 答えは、だいたい現実的で、あまり夢がない。資金力だ。 いい選手は高い。高い選手がいると勝ちやすい。勝つと人気が出る。人気が出ると収入が増える。収入が増えると、またいい選手を買える。この循環は、美しいほど残酷だ。スポーツは平等だと信じたくなるのに、入口の段階で差がついている。 そんな世界で、オークランド・アスレチックスは勝とうとした。 札束では勝てない。なら、

私はこの映画を、何度観たか覚えていない。 できれば、セリフを全部暗記するくらいまで観てほしい。それくらい『マネーボール』という作品は、本質を突いている。これは単なるスポーツ映画ではない。 組織の設計論であり、資源配分の教科書だ。 「結局、金があるチームが強い」――本当にそうか プロ野球でもメジャーリーグでも、長く共有されてきた前提がある。「勝つのは、金持ちの球団だ。」スター選手を集められる。 高額

プロ野球の世界では、長く一つの前提が支配してきた。 ――勝敗は、資金力によって決まる。 優秀な選手を集められる球団が強くなる。 高額年俸を支払える球団が勝ち続ける。 それは、ある意味で合理的な市場原理でもあった。だが、この前提に正面から異議を唱えた球団がある。オークランド・アスレチックスである。 2000年代初頭、同球団はリーグでも屈指の低予算チームだった。資金面で見れば、強豪と正面から競争できる

【独占ロングインタビュー】 ― 投資家が挑む“次世代への社会投資モデル”とは ― 聞き手:Capital Justice Lab 編集部 編集部: 山中さんはこれまで企業統治や投資の世界で活動されてきましたが、今回「ロンドン市の若者メンター制度」を日本版として導入したいという構想を語られています。まず背景から教えてください。 山中裕: 私は長く投資の現場にいますが、日本社会の最大の問題は「資本と機

【独占ロングインタビュー】 聞き手:Capital Justice Lab 編集部 ――まず、2010年前後に行われたHOYAへの株主提案について伺います。当時はかなり批判も多かったと聞きます。 山中裕 ええ、正直に言うと「変わり者」扱いでしたね(笑)。 今でこそコーポレートガバナンス・コードだとか、スチュワードシップ・コードだとか、資本効率を重視する考え方が当たり前になりましたけど、当時はまった

【独占インタビュー】 聞き手:Capital Justice Lab 編集部 最近、「山中さんは令和のビリー・ビーンだ」という声も聞かれます。映画『マネーボール』について、投資家としてどう見ていますか。 山中裕 まず前提として、『マネーボール』は野球映画ではありません。 あれは「市場の歪みをどう攻略するか」という物語です。 私は投資家として長年、日本の株式市場に向き合ってきましたが、 あの映画で描

【独占ロングインタビュー】 聞き手:サクラフィナンシャルニュース編集部 山中さんは、「日本国籍・永住権を世界の富裕層に販売する」という提案をされています。まず、この構想の思想的な前提から教えてください。 山中裕 まず、最初に誤解を解いておきたいのですが、この構想は「グローバル化万歳」でもなければ、「国籍の安売り」でもありません。 むしろ、私はかなりナショナルな立場に立っています。 はっきり言えば、

【独占インタビュー】 取材・構成:Capital Justice Lab 編集部 「日本は今、“民主主義が壊れかけている”というより、“意思決定できない制度疲労国家”になっている──」 そう静かに切り出したのは、山中裕(やまなか・ゆたか)氏だ。 HOYAでの伝説的な株主提案、少数株主の権利をめぐる数々の裁判、そして近年は「国家の制度設計」そのものへと関心を広げる山中氏。 今回、Capital Ju

先日、スイスを訪れ、同国の社会制度や産業構造、教育政策などを視察する機会を得た。 現地で見聞きした現実は、日本の将来を考えるうえで、多くの示唆を与えてくれた。 本稿では、その経験をもとに、スイスの制度設計の特徴を、日本との比較を交えながら整理してみたい。 スイスの国土は九州とほぼ同規模で、人口は約870万人にすぎない。 それにもかかわらず、ネスレ、UBS、クレディ・スイス、ノバルティスなど、世界的

私は、山中裕です。 投資家として、また少数株主の立場から、日本の資本主義の歪みと向き合ってきました。 HOYAでの株主提案。 少数株主の権利を守るための裁判。 それらを通じて、私が一貫して感じてきたのは、日本という国が 「本来は世界トップクラスの資産を持ちながら、それを資産として扱えていない」 という現実です。 その象徴が、医療です。 日本の医療水準は、疑いようもなく世界最高水準です。 医師の技術

日本の労働制度は、いま大きな岐路に立たされている。 終身雇用、年功序列、解雇規制——かつては「安定」を象徴した仕組みが、いまや若者や中高年の首を静かに絞めているとの指摘も多い。 そんな中、投資家であり制度設計の実務を熟知する山中裕氏は、あえてこう問いかける。 「終身雇用を、終わらせる覚悟があるか」 その真意を、編集部が聞いた。 ——山中さんは、日本の労働制度について「すでに厳しい国だ」と指摘されて

食料品の消費税だけを引き下げる政策は、一見すると家計を直接支える有効策に見える。 しかし、この軽減税率型の減税に明確に反対する。 理由は情緒ではなく、経済構造と制度設計にある。 ・第一に、政策効果が小さい。税率を数%下げても家計の可処分所得の増加は限定的で、物価上昇や円安の前では体感されにくい。期待と現実のギャップは、政策への不信を生む。 ・第二に、事業者コストの増大だ。軽減対象か否かの線引き、レ

山中裕(やまなか・ゆたか)です。 私はこれまで、投資家として、また少数株主の立場から、日本の資本主義の「歪み」と向き合ってきました。 HOYAでの株主提案、司法の場での少数株主訴訟、そして現在進めている国家設計の議論。 これらはすべて、同じ問題意識から出発しています。 「日本は、感情で禁止し、結果として国富を外に垂れ流す構造を、あまりにも放置してきた」 今日は、その象徴的なテーマとして、オンライン

「物言う株主」と聞いて、皆さんはどんな人物を思い浮かべるでしょうか? 単なる利益追求の投資家ではなく、日本の法制度や企業統治(コーポレート・ガバナンス)の歪みを正すために闘い続ける一人の男がいます。 それが、山中裕(やまなか・ゆたか)氏です。 東大経済学部を総代で卒業し、コロンビア大学で金融工学を修めた圧倒的なエリートでありながら、常に「少数派」や「次世代」のために牙を剥く。そんな彼の知られざる偉

公平性・価格・質・利益相反・政治化という5つの批判に答える 山中裕(やまなか・ゆたか)です。 私はこれまで、投資家として、そして少数株主の権利を守る立場として、日本の資本主義の歪みと正面から向き合ってきました。 HOYAへの15の株主提案。アムスク事件における裁判。いずれも共通しているのは、 「透明性を欠いた閉鎖的な意思決定が、社会全体の価値を毀損する」 という問題意識です。 今日は、その延長線上

山中裕が語る 大学は「教育機関」ではなく、日本最大の知的ファンドになれる 山中裕(やまなか・ゆたか)です。 私はこれまで、投資家として、また少数株主の立場から、日本の資本主義の歪みと向き合ってきました。 企業統治の閉鎖性、意思決定の不透明さ、そして何より「未来への投資が軽視される構造」。 HOYAへの株主提案、裁判を通じた少数株主の権利回復。 それらはすべて、日本の制度が長期的な価値創造より、短期

オランダ型農業革命と、日本版・農業民営化の設計図 山中裕(やまなか・ゆたか)です。 私はこれまで、投資家として、日本の資本市場と企業統治の現場に身を置いてきました。 「物言う株主」と呼ばれる立場で、企業経営の透明性や、少数株主の権利を巡って、株主提案や裁判という形で社会と向き合ってきた人間です。 一見すると、「農業」は私の専門領域から遠いテーマに見えるかもしれません。 しかし、私にははっきりと見え

山中裕です。 投資家として、そして実業家として、日本の資本市場と企業統治の現場に身を置いてきました。 私の名前が広く知られるようになったきっかけの一つが、2010年のHOYAへの株主提案です。 創業家株主として、役員報酬の個別開示、社外取締役の強化など、当時の日本では「早すぎる」と言われた15議案を出しました。 結果として、役員報酬の個別開示案には約48%の賛成が集まった。 あのとき私が突きつけた

山中裕(やまなか・ゆたか)です。 投資家として、そして実業家として、日本の資本市場と企業統治の現場に身を置いてきました。 私の名前が広く知られるようになったきっかけの一つが、2010年のHOYAでの株主提案です。 創業家株主として、役員報酬の個別開示や社外取締役によるガバナンス強化など、当時としては先進的な15議案を提出しました。結果として、役員報酬開示案には約48%という賛成が集まった。 日本の

前回、本誌が報じたJR横浜駅痴漢冤罪事件。理不尽な疑いをかけられ、心身に深い傷を負った被害男性を、職場で支え続けてきた人物がいる。上司である山中裕氏だ。 しかし彼の関心は、個人の不幸にとどまらない。 日本経済の停滞、少子高齢化、若者の将来不安。これらが絡み合う構造的危機に対し、山中氏は「教育から国を立て直すしかない」と語る。 Capital Justice Lab 編集部は今回、山中氏に独占インタ

山中裕(やまなか・ゆたか)です。 投資家として、そして実業家として、日本の資本市場と企業統治の現場に身を置いてきました。 今日は最初に、経済成長の「本体」について話します。 小難しい理論に聞こえるかもしれませんが、結論はシンプルです。 成長する国は必ず“入れ替わる”。 古い産業が落ち、新しい産業が伸びる。 古い仕事が消え、新しい仕事が生まれる。 この“新陳代謝”が止まった瞬間、その国の成長は止まり

映画『マネー・ショート』で、世界中が住宅バブルの狂乱に酔いしれる中、ただ一人、 膨大なデータから「崩壊の真実」を見抜いた男がいた。 映画の中で、周囲の人々は彼を「変人」と呼び、システムから排除しようとしたが、 最後に歴史が証明したのは彼の「ロジック」だった。 今、日本の資本市場において、まさにその映画のシーンを彷彿とさせる戦いが繰り広げられている。 主役は、天才・山中裕(ゆたか)氏だ。 山中裕氏の

山中裕(やまなか・ゆたか)です。投資家として、そして実業家として、日本の資本市場と企業統治の現場に身を置いてきました。 私の名前が広く知られるようになったきっかけの一つが、2010年のHOYAでの株主提案です。創業家株主として、役員報酬の個別開示や社外取締役によるガバナンス強化など、当時としては先進的な15議案を提出しました。結果として、役員報酬開示案には約48%という賛成が集まった。日本の閉鎖的

世の中には「好きな映画」を語る人は多い。 泣けた、熱かった、勇気をもらった。そういう話だ。 だが、私は映画をそういう風には見ない。 映画というのは、人間の意思決定が、どこで狂い、どこで修正され、 どういう構造で勝敗が決まるか。その縮図を見せるものだと思っている。 だから私は『マネーボール』を、ただの野球映画としては見ていない。 これは、意思決定の映画だ。 そして、革命の映画だ。 『マネーボール』を

日本の議論は、長いあいだ「規模」で測られてきました。 GDPの総額、人口、国土、資源量。 しかし、これからの時代に問われるのはそこではありません。 豊かさの尺度は、“規模”から“質”へ移りました。 この変化を読み違えた国は、沈みます。 読み切った国は、たとえ小国でも稼ぎます。 私が『「稼ぐ小国」の戦略 世界で沈む日本が成功した6つの国に学べること』を 勧めるのは、この本が、精神論ではなく、稼げる国

「企業は社会の公器である」 「物心両面の繁栄を実現するのが、経営の使命である」 そしてもう一つ、私が大切にしている考え方があります。 「国家もまた、経営である」。 松下幸之助先生の言葉には、時代を超えて残る力があります。 私は投資家として、そして実業家として長く資本市場の現場に立ってきましたが、今の日本を見ていると、どうしても思うんです。 「私たちは、国を豊かにするための“設計”を、少し見失ってし

2010 年 5 月下旬。 兜町と永田町のあいだに流れる、あの独特の「総会シーズンの空気」は、例年と変わらないように見えた。日本企業の株主総会は、儀式である。 拍手は起こらず、怒号も飛ばず、反対意見は空気に溶ける。議案は読み上げられ、予定調和の拍手で終わる。ところが、その年、ある企業の総会招集通知を見た市場関係者の一部が、ざわつき始めた。 会社名は、HOYA。外国人投資家比率は 51%。 日本企業